株主・投資家の皆様へ

取締役社長 種市順昭より、2019年12月期(第90期)の経営成績および
事業展開のご報告と、今後の課題・戦略をご案内します。
2019年12月期(第90期)を振り返って
経営成績

当期のエレクトロニクス市場は、米中通商摩擦の影響等により、データサーバーやスマートフォン等の需要が鈍化したため前年を下回りました。
このような情勢下において当社グループは、成長軌道への回帰を目指し各種施策を実施してまいりました。当期は、新たな価値の創出を目的に主力開発拠点である相模事業所内に研究開発棟を新設したほか、2020年からの生産拡大に合わせた生産設備の増強投資を米国、韓国、台湾で実施いたしました。さらに、研究開発面では、企業、大学、国立研究機関等との協業による新製品の開発も推進してまいりました。
コーポレートガバナンスの側面では、韓国向け輸出管理の厳格化にも対処した一方で、経営基盤の強化に向けた施策も講じてまいりました。
このように様々な施策を講じた結果、装置事業は、出荷済み製品の検収が進んだことで売上高は前年を上回りましたが、一方で、半導体市場環境の悪化による影響を受け、材料事業の売上が減少したため、当期の売上高は、1,028億20百万円(前年同一期間比2.3%減)となりました。

利益面では、売上減少や最先端半導体製造プロセスに使用される製品の量産準備に伴う人員増加等による経費増加により営業利益が95億46百万円(同9.1%減)、経常利益は97億07百万円(同9.6%減)と前年を下回り、また親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失や非支配株主に帰属する当期純利益の増加の影響等により54億10百万円(同21.3%減)となりました。

事業別営業の概況
材料事業
エレクトロニクス機能材料部門

中小型液晶パネル需要の落ち込みを受けディスプレイ用フォトレジストの売上は減少しましたが、最先端半導体製造プロセスに使用されはじめたEUV用フォトレジストの販売は好調に推移し、3D-NAND向けの厚膜KrFフォトレジストや電子部品向けMEMS材料などの販売も堅調に推移しました。
この結果、当部門の売上高は、前年同水準の582億49百万円(前年度比0.9%減)となりました。
高純度化学薬品

スマートフォンやデータサーバーなどの市場環境の悪化を受けて、台湾における半導体生産量が減少したため、半導体製造プロセスに使用される半導体用フォトレジスト付属薬品の販売が減少しました。
この結果、当部門の売上高は、前年を下回る406億74百万円(同7.0%減)となりました。
装置事業
プロセス機器部門

ウエハハンドリング装置「ゼロニュートン®」の出荷済み装置の検収が進み、加えて車載等に用いられる半導体製造に使われるその他半導体製造装置の売上も前年同水準となりました。
この結果、当部門の売上高は、前年を上回る38億33百万円(前年度比44.4%増)となりました。
エレクトロニクス機能材料の種類別売上構成
KrFフォトレジストは、市場環境の悪化による影響を受けながらも、3D-NANDの進化に伴う積層数の増加によりフォトレジストの使用量が増加したため、前年と比較して2%売上構成が大きくなりました。一方、ArFフォトレジストは、半導体需要の鈍化を受けた顧客の稼働率の低下による影響を受けたため前年と比較し、1%売上構成が下がりました。

2020年12月期(第91期)の見通し
今期につきましては、材料事業は、半導体生産の回復により半導体用フォトレジストの販売が増加していくことに加え、高純度化学薬品においても、米国向けに、最先端半導体製造プロセスに使用される高機能な洗浄液
の販売が増加する見込みです。また装置事業は、パワー半導体の製造に使用されるプラズマアッシング装置や、高機能、高性能な半導体を実現する半導体後工程に使用されるウエハハンドリング装置「ゼロニュートン®」の売上が見込まれています。このことから、今期の売上は、前年を上回ると予想しております。
利益面では、売価値引き等のマイナス要因はあるものの、材料事業の売上増加と高付加価値製品の販売増加による効果に加え、経費の減少が見込まれることから材料事業の営業利益は前年を大きく上回ると予想しております。加えて装置事業におきましても、経費削減等の効果により赤字幅が縮小する計画です。このことから、今期の営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ増益を予想しております。
(百万円)
2019年12月期 (第90期) | 2020年12月期 (第91期) | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 102,820 | 107,000 | 4.1% |
営業利益 | 9,546 | 11,300 | 18.4% |
経常利益 | 9,707 | 11,700 | 20.5% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 5,410 | 7,900 | 46.0% |
株主配当について
このように厳しい業績となりましたが、安定的かつ継続的な利益還元の観点から当社は、DOE(連結純資産配当率)3.5%を目処とする配当方針に基づき、当期末配当金につきましても、株主の皆様の日頃のご支援にお応えし、1株につき60円といたしました。これにより、中間配当金60円と合わせて、年間配当金は1株当たり前期96円から24円増配の120円といたしました。
