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エンジニアが本音で語る「スピンレス®開発秘話」

時間との戦いに終始したテスト期間

生産移行段階のプロセス開発上で苦労した点ということでは、ご協力を頂いた電気メーカーにて製品としていままでのものと同等であるというところまで検証をしなければならないことです。

当時は何十回とお客様のところに訪問しました。非常に短い期間で協力しながら結果を出すという作業はものすごく大変なものでしたが、無事に結果を出すことができてほっとしています。

我々が協力してやりましょうと提案した時点から、お客様と同時に作業を行った期間というのは、実際は半年くらいでした。ふつうは一年以上かかるであろうトライアンドエラーを半分の時間で成し遂げたという点は、商品開発の過程で最も苦労した点といえます。

市場における「スピンレス®」の評価

「スピンレス®」の市場での評価という話に移りますが、液晶業界の第5世代と呼ばれる時期から「スピンレス®」は生産技術として認知されました。それまでの液晶業界ではずっと回転塗布方式で製造がされていたわけです。市場での認知がどのように現れてきたかというと、急拡大を続けている液晶業界で、第5世代から「スピンレス®」が登場して、現在までの約4年間の間で、第6世代以降の塗布装置は99%くらいが、「スピンレス®」もしくは類似の方式となっていきました。第5世代を迎えるまでの約5年間は、ほぼゼロに等しかったこの方式がです。

第6世代以降のこのドラスティックな変化が、市場での評価を表現していると思います。

環境保全と企業イメージアップを両立する「スピンレス®」

開発当初、私は本社に呼び出されて、会社上層部と話をしたことがあります。「我々は化学薬品を販売している会社です。薬品を塗布する場合、実際に基板上に残るのは数%、投入量の90%以上は塗布プロセスの中で捨てていたものが、投入量の殆どが基板上に残り、捨てなくてよいような状況になったとしたら、薬品の販売数量が1/10になりかねません。このような状況をどう考えているのですか。」という質問をいただいたのです。私は別にそこに迷いはなくて、自分たちが今からやろうとしている技術が東京応化だけが開発している技術なのであれば、いつでもこの技術開発を中止してくださいと。時間の問題で他社もやるのであれば、従来の技術がこのまま続くわけではないという結果になるからです。我々は化学薬品メーカーだからこそ省エネルギー、エコロジーを考えていかなければいけないし、そうやって社会貢献をしなければいけないという立場にあるわけですから、それを東京応化がやることが、一番の会社のアピールポイントになるんじゃないでしょうかと申し上げました。

また「スピンレス®」をやることによって、今までの業界スタンダードだった回転方式に引導を渡すことになるかもしれませんが、回転加工方式を液晶業界にスタンダードにしていったのも他ならぬ我々だと自負しています。スタンダード化させた我々が1つの技術に区切りをつけて、次の新しい試みに挑戦していくというシチュエーションは、トップランナーとしての自分たちに課せられた使命ではないでしょうか、ともずいぶん大きく出た発言でしたが僭越ながら付け加えました。「そのとおりかもしれませんね」と納得された様子でした。本音かどうかはわかりませんけども(笑)

「スピンレス®」の高品位都府が目指す次のステージは

今後、未経験の分野に対し、どのような技術を私ども東京応化が提供できるのか、という問題になりますが、例えば今回の「スピンレス®」というのは、たまたま液晶業界で開花したことになりますけど、様々な形に変わると思います。

何か化学薬品を塗らないといけない分野というのは、まだまだたくさんあると想定しています。そこに向けて「スピンレス®」のさらなる技術の飛躍を行わないといけないと思っていますし、まだ構想段階ですが、次に取って代わる技術も開発のテーマとして当然持っています。ただ、目指さなければいけないのは、「シンプル・イズ・ベスト」だと思います。

そこに向かえば向かうほど技術の完成度としては高くなると思っています。