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エンジニアが本音で語る「スピンレス®開発秘話」

動きながらも動かない?という先進技術も投入

次に、我々の方式ではノズルを動かさないといけないのですが、先ほどご説明しましたように非常に特殊な性質を持つ化学薬品ですので、余計な力が加わるとすぐに変化するのです。均一にノズルから吐出する為に、ノズル内には均一には広げたい、ただし余計な力を加えて変な挙動を起こしてもいけない。そうするとまず振動してはいけないのです。ということは、動きながらも動かない?(振動しない)、と言うことになる訳です。我々の装置業界に限らず、一般的に物を動かすという方法というのは、当然のようにモーターが使われますが、よく家電製品で使われている高精度なものは、「サーボモーター」と呼ばれるものが採用されています。ところが、当時一番性能の良いサーボモーターを使用しても、我々が欲しい能力にはまだまだ足りませんでした。そうした中で、より滑らかに、より振動をさせないで動かす技術として、リニアモータードライブ技術がありました。

もうひとつ、物を動かす場合は、動かすものを支えるメカニカル技術というものが必要になる訳ですが、物と物が接触すると、当然、接触したところには摩擦が生じて、摩擦が振動となってしまう。それならばもうノズルを動かす時に物と接触させない様にしてしまえ、ということで、浮かしてしまうことにしました。これがエア浮上技術につながって、いずれも新開発のテクノロジーになったのです。

こうして新開発のドライブ技術を使うことになったのですが、いままでに実績のないような使用方法で装置に使おうとした時に、制御技術も含めて装置化する上で非常に困難な問題に直面することになりました。それがポンプの問題です。説明致しますと、前述の非常に不安定な化学薬品をスリットノズルから均一に出そうとすると、そこには非常に精密に、かつ安定して均一な量を送り出すことができるポンプが必要になってくる訳です。今でこそ我々は高性能なポンプを手にしましたが、当時入手可能なポンプは、内部に複雑な形状をもっていた事から、そこに液体が澱むという現象が起きてしまい、化学薬品の性質が不安定になってしまっていたのです。

要するに筒のようなものがあって、右から左に液が流れるだけであればいいのですけが、それではどうやって精密に送液をコントロールするのですかという問題点が残るわけです。我々が現在使用している高性能ポンプは、できるだけ中の抵抗をなくして、さらに決められた量を決められた時間の中で精密に出していくという性能を追求していったものです。ですが、現在でも精度に対する要求はもっともっと上がってきており、我々は更なるポンプの性能向上を目指しています。