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エンジニアが本音で語る「スピンレス®開発秘話」

「スピンレス®」開発の背景とは

私ども東京応化は、塗布装置として「スピンレス®」を市場にリリースする前から、液晶業界においてはかなりのシェアを持っていました。液晶用ガラス基板への塗布では、第1世代から私どもが開発し回転カップ(スピン)方式と呼んでいる塗布方法がスタンダード技術になっていった程でした。その後、お客様にさらなる生産効率の向上を提供するレジストの使用量の少量化(削減)を実現する技術である「コート&スピン®」という技術に移行して行きました。その技術をブラッシュアップしていった延長線上に「スピンレス®」があります。

お客様から求められる技術ニーズとマーケットの急拡大を背景に開発した「スピンレス®」をリリースするタイミングが、液晶業界では第5世代と言われる世代でした。基板サイズが1メートルを超えるようになったのがこの第5世代です。

当時は、【これほど大きなガラス基板にどうやって高均一に化学薬品を塗布する事ができるのか】というプロセス的な懸念と、【既存の技術をスケールアップしたとしても、たった0.7ミリしかない1メートル角のガラスを回転させて塗布できるのか】という機械技術的な懸念が当然お客さんの中にはありました。その中で、塗布装置の命となる高均一に化学薬品を塗らなければいけないという能力を研ぎ澄ませていったのが、我々の「スピンレス®」だと考えています。

これは秘話ですが、最初にこれらの懸念点に着目したのが海外の大手電気メーカーでした。技術交流を進める中で新技術「スピンレス®」のメリットを理解し、採用を決断していただいたのです。

いままでも他の塗布技術が何もなかったのかというと、そうではなく、我々が以前から行っていた回転塗布をする技術、ロールコーターと云って基板は回転させませんが、ローラー上に広げた塗布液を基板上に転写させながら塗っていくという技術も以前から公知の技術としてありました。

他の業界でも例えば樹脂フィルムや磁性体フィルム、具体的に言うとビデオテープなどのペラペラの紙状プラスチックフィルム、実はこれもスリットノズルというノズルからの塗布で生産しています。

そういった技術の中で、「基板を回転しないで塗布をすることはできないか」という「スピンレス®」技術が当然着目されていましたが、その実現までには非常に困難な道のりがありました。

私どもが「スピンレス®」と名付けた技術は、商品名のロゴ名称でもあって、「スピンをなくす」という意味合いで「レス」という言葉をもじっているわけです。スリットノズル塗布技術が業界は違えども、なぜ今まで液晶業界に採用されることがなかったのかということを次項でお話します。